中級講座第七回「ノリ手の活用法」

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連珠の魅力のうち、禁手は前回解説しました。今回はもう一つの魅力である、ノリ手について説明していきましょう。ノリ手を使いこなせるようになると、防ぎがうまくなります。また、攻めもノリ手をいかにかわすかということが重要なポイントなので、ノリ手をマスターすれば一気に実力がアップします。

爽快なノリ手の例

有名な局面ですが、恒星定石から例を見てみましょう。黒15まで打って以下ABCの四追いを残しましたが、この15は失着で、白16、18で大逆転となります。つまり、黒Aに打った時白止める手が四になるのでこの四追いがノリ手で止まっており、同時に白Dの四三が受からずに白勝ちになるというものです。こんな一発大逆転のノリ手は最上級と言えるでしょう。白16、18のノリ手は、直接防がない手なので、自分の手を汚すことなく目的を達することから、まるでネット取引で儲けるような?現代風の香りがしますね。いやいや、こんな手は大昔から打たれていたので、連珠は昔から近代的なゲームだったようです。

さて、上級者がノリ手を良く使う訳は、ノリ手で防ぐのが最も効率良く、安全な防ぎだからです。例を見て見ましょう。

山月白4は「山おろし」という強防です。ここを解説しているときりがないので、すっ飛ばして黒15までの局面を考えて見ましょう。

Aの四三を見せられていますが、単純に防ぐのでは面白くなく、ここは白16とノリ手で防ぐのが勝ちを決める一手になります。この三は、黒Aの四三を白Bでノッているのと同時に、Cの四三を見せています。これで黒は攻めるどころか防ぐ手もありません。さっきの例と同じような最上級のノリ手です。

違う例を見てみましょう。最上級のノリ手は実戦ではそうめったにはお目にかかれません。しかし、ノリ手防ぎの思想は、普段良く出てきます。

黒17までの局面を考えて見ましょう。黒が17と剣先を増やして攻めを継続した所です。この黒17は含み手なのですが、白は単純に防いでいては負けてしまいます。ここでノリ手を利用した防ぎがあります。

白18がノリ手を利用した防ぎです。黒19から四追いを打っても、白22で四が乗ります。したがって、白18はこの四追いを間接的に防いでいます。この「間接的に」という感覚ですが、実は直接防ぐのと同じぐらいの安心感があります。「ノリ手は裏切らない」とでも言うのでしょうか、高段者は防ぎにまずノリ手を考えるぐらいです。白18は高段者なら第一感浮かぶ着手です。


ここで、ノリ手の意義を解き明かしていきましょう。例題として、左の図のような局面があったとします。黒は上辺で次に一手四三ですが、どうやって防ぐのが一番いいでしょうか?

白1とノリ手で防ぐのがこの場合は一番いい防ぎです。Aと四三の焦点を防ぐのは、防ぎだけなら一番強いですが、この場合は先手にならないので黒からの攻めが怖いです。また、他にBやCと同じくノリ手で防ぐ手もありますが、これもそれぞれ黒に先手を取られるので感覚的に怖いのです。

白1も黒にBと止められますが、黒にBというつらい四ノビをさせた事に満足できますし、何よりも白1で黒の縦の連を止めているのが大きいのです。つまり、白1によって黒の四三と黒の二連、2つを止めている事になります。一手で2箇所(しかも離れている所)を止める事ができる、これがノリ手の魅力です。右手と左手両方で攻撃を防ぐというイメージです。

次に紹介するのは、変わったノリ手です。「勝手ノリ手」とも言うんでしょうか、お互いに意識がないのにノリ手になる例です。
左図の局面で、黒は一見四追いがありそうですが・・・

黒1〜7で四三のようですが、白2〜8と見事に白石が4つ並んでノリ手になってしまいます。四追いをする前には1つも石がなかったので、見つけるのが難しい形です。もっともこの場合は、黒9と止めて勝ちは残っていますが、ここまで読んでないと勝てません。

四追いをする時によくノリ手ができます。これは、四追いはどうしても石が増えるからで、自分の石だけでなく相手の石も増えることを忘れがちなため起こります。
左図は白が三と打ってきたところです。黒は四追いで勝つつもりでしたが・・・四追いはあるのでしょうか?

結論として、四追いはありません。下の2つの図のどちらも、白に四ができるので、四追いにはなりません。四追いの前にはノリ手がないかよく確認しましょう。

次の一手、練習問題

【第19問】
(黒先)

【第20問】
(白先)

【21問】
(黒先)

前回の解答

【第16問】
Aが正解

【第17問】
Aが正解

【18問】
Cが正解