中級講座第四回「価値の高い手を打とう」

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今回は、少々難しい内容となります。連珠は将棋と違って一度打った石は動かせませんから、一度打った石には最大限働いてもらわないといけません。つまり、その石に最大限の価値がないと勝ちを得られません。(だじゃれかよ!) できるだけ価値の高い手を打つ必要があります。では、どうやってその価値を判断するのでしょうか?たいてい、

  • 相手の連を止めながら、自分の連を作る
  • 相手の眠三(剣先と言います)を止めながら、自分の連を作る

など、双方の共通の急所が価値が高いとされます。また、

  • 複数の連や剣先を止める手
  • 複数の連や剣先を作る手

も、一般的に価値が高いでしょう。でも、最終的にはその場その場の局面で判断していくしかありません。具体的な例を見てみましょう。

長星白4は最強防で黒5が定石です。黒7も定石ですが、白8、10の防ぎには黒11は衆目の一致する好点で、最も価値が高いと判断されます。相手の連を止め、自分の連と剣先を作っているからで、これで右辺から上辺に勢力が見込めます。

しかし、もし黒11に打ち、白12と変われば、黒13の価値は目減りします。というのも、自分の連が増えたのは先程と同じですが、相手の連は既に11で止めています。もちろん黒13で完全に息の根を止めているので価値はありますが、白の連を止める事に関しては不急の場所です。また、黒の勢力も白12により削減されていますので、前の図よりはパンチ力がありません。

それよりは、黒13と相手の剣先を止めた方が価値が高そうです。これは、白12が加わる事により、13の剣先の価値が高くなっているからで、そこを押さえる方が優先されるからです。このように、一手ごとに価値は変わっていきます。一手進むごとに、価値判断を修正する必要があります。v

さらに続けて白14と防いだとしましょう。するとまた、今度は黒15が最大の急所(囲碁で言えば大場)に変わります。白14で下辺に防がれたので、下辺は価値が低くなったのと、今度はAからBへ抜ける筋が発生したためです。そこでまた15の場所が好点に変わったのです。コンピューターでプログラミングをする時もすべての場所の価値を判断し、最大価値の場所に打つようにしていると思いますが、考え方は同じですね。

次の例です。松月で白10までは定石手順ですが、次の黒11は手がいろいろあり迷うところです。白4、8の連を叩く手、もしくは自分の勢力を伸ばす手が価値が高そうです。

通常黒11ではAやBが打たれます。しかし、Cや11の四ノビは打たれません。特に黒11の四ノビは完全な悪手です。AやBと同じように見えますが、それが四ノビというだけで完全に価値が下がります。初級編でも繰り返し言いましたが、四ノビは四三の芽をつぶすデメリットが大きく、相手の石数も増やしますからできるだけ打たないようにするのが上達のポイントです。四の場所は序盤では除外した方が間違いがないでしょう。

今度は銀月です。黒5は有段者規定の2箇所打ちでよく打たれます。以下白18までとなった時、黒19の着手を考えてみましょう。部分的にはAやBも好点ですが、それより広い方に進出するのがより価値の高い手になります。例えば黒19と大海原に飛び出すのが非常にいい手になります。広い所に進出するということは、そこからまた新たに組み立てる空間があるということです。広さも価値を判断する大きなファクターになります。

疎星は初心者にも人気のある珠型ですが、漫然と打っているとすぐに引き詰まってしまいます。白16まで止められると、黒に思わしい場所が見当たりません。差し当たって白にも攻め筋はありませんが、こうした場合には黒17と先に白の急所に先回りする必要があります。最初の例では片方が止まっている二連はさほど価値は高くなかったのですが、局面が収まってくると、今度は剣先を作る手が大きな一手となります。あらかじめその芽を摘んでおくのが価値の高い手になります。

いくつかの例を示しましたが、今回言いたいのは、価値は局面によって変わってくるということです。一手前までたいした事がなかった手も、次の局面では最重要な場所に変わることもしばしばです。連珠はすべての石の力を引き出すように打つのが究極です。その石を生かすも殺すもあなた次第なのです。

次の一手、練習問題

【第10問】
(白先)

【第11問】
(黒先)

【第12問】
(黒先)

前回の解答

【第7問】
Aが正解
(追い勝ちがあります)

【第8問】
Bが正解

【第9問】
Cが正解