中級講座第三回「形勢判断が大切」

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今回は、中盤から終盤にかけて大切な考え方をご紹介しましょう。序盤はある程度知識で乗り切ることができますが、中盤以降は明確な指針がありません。では、どうやって乗り切っていけば良いのでしょう。もちろん自分の読みの力しか頼るものはありませんが、すべてを読むことは実戦ではできません。ですので、まずは方針を決める必要があります。ここで大切なのはしっかりとした形勢判断をすることです。つまり、

  • 今の形勢は有利かどうか?
  • 攻めるべきか守るべきか?

の判断ができれば、それに沿った手を打つ事ができ、大きな間違いが減ってきます。 いろいろ言ってもわからないと思いますので、具体的な例を見てみましょう。

黒5は定石ですが、黒7が良くありませんでした。白10までの局面を考えて見ましょう。黒、次に攻めようとしても、眠三(片方が止まっている三)が1つしかなく、続けて追い手を打つ事ができません。一方、白は連が2つあり、ほっておいたら勝たれてしまいそうです。つまり、この局面は(認めたくないかもしれませんが)黒が不利になっています。では、守りの手を打たなければならないでしょうか?必ずしもそうとは限らず、防ぎながら守る手やけん制する手が考えられます。その中からいくつか候補を考えてみましょう。

黒11が攻めと守りを兼ねた手です。白の連を1つ叩いて止めていますから、直接の白勝ちはなくなりました。もし白がなおも12と欲張ってくるなら、今度は黒13から勝ちが出ます。少々長いですが、一例として黒27までを示しました。他の止めもいずれも黒勝ちになります。

今度は白が考える番です。黒勝ちを防ぐ手はいろいろあります。例えばこの白12も急所です。しかし、交換に黒13と打たれると、黒の形が意外にしっかりしてきます。それもそのはず、黒13は前やった山形の急所になっています。白は他の防ぎを考えた方が良さそうです。

そこで白は12と止めます。ここでまた黒は考えどころです。状況は先程とあまり変わっておりませんが、11の石が加わっているので、何か手がないか考えてみましょう。

黒13から引き出しましたが、どうやら勝ちはなさそうです。一方、白には三々が残っており、やはり止める手が必要となりそうです。

黒は13と三々の焦点を止め、白に手を渡しました。ここで白は黒を無視して呼手を打つ手もありますが、黒の攻めも怖いので14と眠三を止めておきます。黒と違って白は黒の息の根を止めておくのが有力な攻撃手段となります。これで白は全方位で次に呼手が狙えます。黒は形勢判断をしてすぐには負けない打ち方ができましたが、やはり序盤の組み立てが悪かったようです。

最初に戻って、どうせ黒13と防ぐなら11で手堅く防いでおく手も考えられます。これはこれで一局です。序盤多少不利な局面を招いても、早めに手当てをしておけば、まだまだ大変な局面が続きます。黒としてはこの図もあるでしょう。要は次打つ手がどんな意図を持った手なのかを自分でちゃんと認識する事が大切です。

続いての例を見てみましょう。
松月で白6に対し、黒7はこうやって引きたくなりますが、実は悪い手です。黒9まで組んで、どう見ても黒が良さそうに見えます。ここで白は防ぐ手がまず思い浮かぶでしょうが、形勢判断をしてみれば、次の手が浮かぶはずです。

形勢判断の手順として、

  1. 自分に四追い勝ちがないか
  2. 相手に四追い勝ちがないか
  3. 自分に追い勝ちがないか
  4. 相手に追い勝ちがないか

は、最低考える必要があります。一手打つごとに、常に考える癖をつけてください。

この法則に従うと、(3)と(4)が当てはまります。自分に勝ちがあるかどうか一瞬でも考えれば、このように簡単な三々禁が残っていることに気がつくでしょう。言われてみれば簡単な手順ですが、常に自分の勝ちを考えていないとチャンスを生かせません。

形勢判断は実力がつくのと比例して上手になってきます。これは実戦を重ねて体感するしかありません。ただ、そういう意識を持ってするのとしないとでは、上達の度合いに大きな差が出ます。

次の一手、練習問題

【第7問】
(黒先)

【第8問】
(白先)

【第9問】
(黒先)

前回の解答

【第4問】
Aが正解

【第5問】
Bが正解

【第6問】
Aが正解(他は白DAでX点四三々禁)